休み時間の免疫学 まとめ①

保菌と感染症

・保菌

 菌が体内に存在していてもそれが正常であったり病気として発症していない状態であること。

感染症

 微生物の体内への侵入・増殖によって病気として何らかの症状が出ること。

炎症

膿とは、細菌を貪食した多数の好中球が残骸となってできたもの。

①発赤②腫脹③疼痛④発熱 の4つの状態になることを「炎症」といい、膿が出るような炎症のことを化膿性炎症という。

TLR

皮下組織には、マクロファージ、樹状細胞、マスト細胞(肥満細胞)が外敵への監視員として存在する。

これらの細胞はTLR(Toll like receptor)とよばれる、相手がどんな奴かある程度わかる感知器を持っている。ある特定の分子と結合するものを受容体(鍵穴)、結合する相手をリガンド(鍵)と呼ぶ。

異物が侵入すると上記の細胞のTLRに、外敵(細菌)の成分がリガンドとして結合する。

TLR4はグラム陰性菌細胞壁成分であるLPS(リポ多糖)を認識する。

TLR2はグラム陽性菌のもつリポテイコ酸、細菌が共通にもつ細胞壁のペプチドグリカンを認識する。

連絡物質

TLRによって異物の侵入を認識すると、周囲に「敵が来た」という情報を伝えるための連絡物質をつくり始める。

 

炎症性サイトカイン

 IL-1(インターロイキン)、IL-6、TNF-αなど。これらは主にマクロファージ、樹状細胞、マスト細胞から分泌され、血管の内皮細胞に浴びせると血管内控を拡張して血液の流れを変え、好中球やほかの免疫細胞が組織に出ていきやすいように反応する。

 

モカイン

 IL-8(別名CXCL8)など。白血球を呼び寄せる(遊走させる)物質で、外敵を認識したマクロファージやマスト細胞が放出する。

 

脂質メディエーター

 プロスタグランジン(PG)、ロイコトリエン(LT)、PAF(血小板活性因子)など。外敵を認識したマクロファージやマスト細胞は、その刺激により細胞膜を構成するリン脂質から種々の脂質メディエーターを産生する。炎症性サイトカインと同様、血管内皮細胞に働き血管の拡張や血管の透過性を亢進する。

貪食作用

連絡物質によって集められたマクロファージや好中球は、異物に対して非特異的(相手が誰でも無差別に)に貪食を行う。

ただし、非特異的な段階ではまだその貪食能は弱い。

抗体

非特異的な貪食を突破した外敵に対して抗体が特異的に(相手がはっきりと決めて)結合する。抗体は、「異物(抗原)に結合して好中球などの貪食細胞が食べやすいようにする」という役目を持ち、この仕事のことを「オプソニン化」という。